いろいろおいしい。 -5ページ目

ハーヴェスト・ムーンで現世に戻れない

週末、妙齢の美人ヒトヅマと東京ディズニーランドに行く。

なんていうとたまらんという人がいるかもしれないが、
彼女と私といういささかトウのたった組み合わせで、
ファンタジーの国を楽しめるのかどうか。
やや不安な気持ちで朝早い待ち合わせに向かったのです。

いやー、おもしろかったー!

10年ぶりくらいのネズミの国は、
その魅力を微妙に変化させつつも
アメリカ的夢の世界で、
「楽しもうじゃないか!」と思いさえすれば
とっても楽しませてくれる素敵な場所でした。

さんざん遊んで、もうひとつの楽しみ、
舞浜の地ビール、ハーヴェスト・ムーンを飲みに。

ピルスナー、シュバルツ、ペールエール、
ブラウンエール、ベルジャンスタイルウィート。
ここでは5種類の定番ビールがあり、
これに季節限定のシーズンビールがプラスされる。

ピルスナータイプのシーズンビールで乾杯したあと、
まどろっこしくなり、ピッチャーに。
テーブルにペールエールの大きなピッチャーが届けられると
なみなみ注がれたやさしいブラウンの液体が揺れ、
目をギラつかせていたヒトヅマからも笑みがこぼれた。
しっとりとやわらかい味わいは、
2杯目からのゆるゆると楽しいビールの黄金時間に
ぴったりだった。

ゆるゆる楽しめるはずです。2L近く入っているのだから。

しかしペールエールをさっさとたいらげたあと、
私たちは5種類すべてが試せるという
たいへん素晴らしいテイスティングセットへと突入。
そしてそのあとのことは、もう覚えていないのだ。


雪夜にやさしい青島

ビールは断じて夏だけの飲物なんかじゃなく
冬にあたたかい部屋で飲むビールは
しっとりゆっくりうまいんだなあ、
とか日頃いばっているのだけれど、
いや最近、冬の終わりってほんと寒すぎるのです。

確かにあたたかい部屋は
ビールがおいしい場所なんだけど、
外気で体が芯まで冷え切っていて
やっとこさ入ってかけつけ一杯、なんていうとき
大好きなラガータイプのビールは
とくに飲みづらく思えるこのごろ。

昨日も、イタリア料理やに行って
モレッティとかイタリアのビールもあったのに
ついつい負けてワインを飲んでしまった。

そして今日はまた、雪。

中華料理やに入り、まずはお燗の紹興酒で
ついほっとしてしまったけれど、
これではいけないと奮起。

そう、中華料理店には青島があるじゃないですか。

これなら、鳥肌がたつような発泡もなければ
のどに残る寒々しい苦味もない。
生桜えびと水菜のサラダ
豆腐と帆立の春巻
干あわびのおこわ風リゾット
そんな繊細な料理とも相性のいい緑いろの瓶。
紹興酒のあと、なんてイレギュラーな環境も
やさしく許してなじんでくれる。

でもね。青島の黒ビールって、悪魔なんだよ!
手のひらを返したように、強烈。すごいんだよ!
この話は長くなるのでまたにするのだ。

真夏の国のヴィクトリア ビター

オーストラリアという国には
特に関心を持ったことはありませんでした。

外国に行くということは、どんな場所でも
わくわくする体験だと思うけれど
山とか海とか滝よりも
人が作った美術や建築に惹かれるので
新しい国より歴史の古い国に行きたいと思ってきた。

親友の一人が短期遊学にオーストラリアに
旅立つのを見送ったときも、
コアラの国かあと思ったくらいで。

週末、会社のそばのビアガーデンに行った。
そうしたら、たまたま
オーストラリアフェアだったのです。
これも縁かなっと、オージービールを
飲んでみようと思いました。

頼んだのは、ヴィクトリア ビター。
大雑把なVBとだけ記されたデザインのボトルから
グラスに注ぐと、とってもいい香りが広がった。

夏休みの匂い、がした。

甘くてさわやかで軽くて
ラムネの仲間みたいな匂い。
楽しくて、鼻をふくらまして何度も嗅いだ。

オーストラリアのパースから葉書が届いた。
ビールがおいしくて困ると書いてありました。

一番搾りと『永遠の仔』

自営業を営む我家には、季節の贈り物がよく届く。
家業が、むさい男共が集う肉体労働系なこともあり、
夏・冬を問わず、ビールをいただくことがけっこう多い。

うれしいですねー

中でも今期は一番搾りの当たり年で、
来る箱来る箱「一番搾り」。
尖ったところがなくて、人あたりもよすぎるかもしれないけど、
私は、このビールのちゃんとしっかりしてるところが好きだ。
年を越えるにあたり相当平らげたけれど、
今だ冷蔵庫に充実の在庫を誇っている。
そんな一番搾りを飲みながら、ああ、読んじゃったのが
『永遠の仔』。全5巻。
言い出したらいろいろ出てきてしまいそうだが、
まず一番に頭に浮かんだのが、
「作家が本気で書いたものはすごい」ということだった。

子供のころ、難しいといわれる本を読むのが好きだった。
「本を読むのが速い」と言われるのが自慢で、
脳ミソをしゅうしゅうに熱くして読みまくった。
でももう、そんな風に本を読まなくなってずいぶんたっている。
速く読むということだけに価値なんてないこともわかったし、
毎日いそがしくて時間もないし。そんなことを言いながら、
日々のおしゃれにカツを入れるために
センスのいいエッセイを読む。
本とそんな軽いついきあいになって、気楽さを感じていた。

いやあすごかったですよ。
昨夜は4時まで読んだ。
今日は7時に起きて、10時の出社ぎりぎりまで読んだ。
21時に会社を出て帰りながら読んで、
いつもの最寄り駅に着いたとき、
たいへんなところだったので
切符売り場の前に立ってしばらく読んだ。
しかしいつまでもたいへんなので
あきらめて自転車に乗り帰ってきて、
やっと読み終えたのです。さっき。
作品について何か気のきいたことを言うことは
ちょっとまだできないけど、
とにかくそんな目に合って、むしょうに小説が読みたくなった。
つらくても悲しくても重くても。数巻に及ぶ長編でも。
とにかくせめて、一番搾りの真ん中の
あれくらいしっかり力が感じられるものを。

そんなわけで明日の休日は本屋に行こうと思うのです。

明けましてエビス黒生

青色発光ダイオードでしたっけ。

新宿の街は、目新しい真っ青な電飾に飾られていたけれど、
この光はビールを飲むにはいささか寒々しいですね。

明けましておめでとうございます。
今年も痛風になったりせずに
おいしくビールがいただけますように。

今日は、いいかげん駅伝にもおせちにも飽き、
一家でおいしいものを求めて新宿にやってきた。
正月休みも最後、
家にしがみついてしぶとく必死に思いっきり
休んでいた私と両親が、
仕事始めを迎えていた弟を強引に呼び出したのだが。

普段黒ビールはあまり飲まない。
黒ビールは味が濃厚で
たくさん飲まなくても満足できる種類のビールである。
ああ、でも私はたくさん飲みたいのだ。
ビールを飲んでいるという時間が
長ければ長いほど幸せなのである。

今日も、さんざんおいしく飲んだあと、
弟が飲み残したエビスの黒を
いじきたなく引っぱってきて飲んでみた。

おいしいですねー

どこか大人にゆったりしていて
しっかり香ばしい風味が
タレの焼き鳥と甘くからみ合って
これは新しい年にふさわしい新鮮な出合い。

今年も、おいしくビールをいただけますように。
今までに飲んだことのない新しいビールや
新しいツマミとのマッチングの発見やら何やら
素敵な出合いに満ちた年になりますように。