一番搾りと『永遠の仔』 | いろいろおいしい。

一番搾りと『永遠の仔』

自営業を営む我家には、季節の贈り物がよく届く。
家業が、むさい男共が集う肉体労働系なこともあり、
夏・冬を問わず、ビールをいただくことがけっこう多い。

うれしいですねー

中でも今期は一番搾りの当たり年で、
来る箱来る箱「一番搾り」。
尖ったところがなくて、人あたりもよすぎるかもしれないけど、
私は、このビールのちゃんとしっかりしてるところが好きだ。
年を越えるにあたり相当平らげたけれど、
今だ冷蔵庫に充実の在庫を誇っている。
そんな一番搾りを飲みながら、ああ、読んじゃったのが
『永遠の仔』。全5巻。
言い出したらいろいろ出てきてしまいそうだが、
まず一番に頭に浮かんだのが、
「作家が本気で書いたものはすごい」ということだった。

子供のころ、難しいといわれる本を読むのが好きだった。
「本を読むのが速い」と言われるのが自慢で、
脳ミソをしゅうしゅうに熱くして読みまくった。
でももう、そんな風に本を読まなくなってずいぶんたっている。
速く読むということだけに価値なんてないこともわかったし、
毎日いそがしくて時間もないし。そんなことを言いながら、
日々のおしゃれにカツを入れるために
センスのいいエッセイを読む。
本とそんな軽いついきあいになって、気楽さを感じていた。

いやあすごかったですよ。
昨夜は4時まで読んだ。
今日は7時に起きて、10時の出社ぎりぎりまで読んだ。
21時に会社を出て帰りながら読んで、
いつもの最寄り駅に着いたとき、
たいへんなところだったので
切符売り場の前に立ってしばらく読んだ。
しかしいつまでもたいへんなので
あきらめて自転車に乗り帰ってきて、
やっと読み終えたのです。さっき。
作品について何か気のきいたことを言うことは
ちょっとまだできないけど、
とにかくそんな目に合って、むしょうに小説が読みたくなった。
つらくても悲しくても重くても。数巻に及ぶ長編でも。
とにかくせめて、一番搾りの真ん中の
あれくらいしっかり力が感じられるものを。

そんなわけで明日の休日は本屋に行こうと思うのです。