いろいろおいしい。 -4ページ目

素敵な映画と恵比寿デゥンケル

3連休です。
でもスギ花粉のせいで、ウキウキ半分、むしろ鬱々。

たかだかどっか痒いだけだよね、と非発症者は言うし、
たしかにたいしたことない日はそうも思えるのですが、
私は数日前にその本当の脅威を思い知ったばかり。
2日間で去年1シーズン分が一気に飛ぶ、と言われたその日、
私は出社してから、目を掻き続けることを
数時間どうしてもやめることができなくて、
その結果「土偶」という不名誉な称号をもらうはめになった。

しかし3日間、家に閉じこもりきりというのもつまらない。
土偶を残す顔にマスク装着で、友人と恵比寿まで映画を見に。

映画は「ビフォア サンセット」。
イーサン・ホークとジュリー・デルピーが共演した
「恋人までの距離」(原題「ビフォア サンライズ」)の続編。
最初の映画をリアルタイムで見て、思い入れのある私にとっては、
もう大満足の仕上がり。
友人の高評価も、自分のことのようにうれしいくらい。
30女好きする、ツボを心得た大人のおとぎ話。
そんな風にも言えるかもしれないけど、
まあ何でもいいの。とにかくとっても楽しめたので。

そして、恵比寿と言えば、やっぱりビール。

レンガ造りの外観を見るからに楽しそうなビアホール、
ビヤステーション恵比寿に入る。
エビスもギネスももちろん飲むけど、
オリジナルの恵比寿デゥンケルに挑戦しなければ。
赤いデゥンケルは、舌に甘く、香り豊かで、
ザワークラウトとアイスバインを合わせると、
ドイツの消化不良を一掃するうれしいテーブルになった。

映画のあとは、一緒に見た人とその映画の話をするのが楽しい。
会話は、ビールが進むごとに夢見がちなものになり、
グラスの上の白い泡のようにふわふわと高く盛り上がり、
やがて酔いの黄色いもやの中に消えた。

上陸記念のひとりベックス

急に決まった出張に準備もままならず、
おまけに風邪までひいてよろよろと成田へ向かう。

しかし出張先は何と、ビールの国、ドイツ!

十数時間のフライトを経て、
たどりついたフランクフルトは寒かった!
今日はホテルに一泊し、
明日、2時間に1本のローカル列車で
目的地イーダーオーバーシュタインへ向かう予定。

ホテルについては、不安はなかった。
日本でチェックしたHPは、日本語完備の立派なもので、
何と言っても心くすくられたのは、
いくら飲んでもタダというミニバー!
着いたら、仕事用のちゃんとした服にでも着替えて
レストランでのディナーに挑戦し、
部屋に戻ったらゆっくりミニバーのビールを飲もう。
なかなかいいんじゃない、とまで考えていたのでした。

ドイツらしくベンツのタクシーに乗って
ホテル名と住所をドイツ語で書いたメモを見せ、
無事ホテルに到着したところまでは予定通りだったのだけれど。
スーツケースを引きずって入った薄暗く狭いロビーは、
何をするでもなくぼんやりしている
なぜかターバン姿の男たちであふれていた。
ひとりしかいないフロントの男の英語もさっぱりわからず、
ガタガタ揺れるエレベーターに乗ったときには、
ささやかな夢はすっかりしぼんでいた。

さらなる決定打は、部屋のミニバーがカラだったこと!

さっきのフロントマンに訴える気力はなく、
すきっ腹をかかえて不毛なホテルを出る。

夕方のフランクフルト駅は、
見渡す限りどこまでもプラットホームが整然と並び、
多くの人が忙しげに行き交って、ぱりっと活気あふれる場所だった。
駅舎の中にはピッツァやサンドイッチや
クレープ、ドーナツの屋台が軒を連ねていて、
小ぎれいな書店やギフトショップもある。
うれしくなって、
色とりどりの屋台をしばらくひやかしたあと、
人が集まる店をじっくりチェック。
結局、じゅうじゅうと焼きたてのピッツァを出す店で、
水玉のようなプチトマトがかわいいピッツァと、
野菜をぎゅうぎゅう詰め込んだサンドイッチをずらり並べた店で、
モッツァレラチーズとトマトのスライスをはさんだバケットを
明日の朝のために購入。
最後に、缶やペットボトルが並ぶキオスク風の店で
数種類の缶ビールを買うと、真っ赤な毛のマダムが
「ダンケ」と言ってくれた。ドイツです。

駅を出ると、すっかり暗くなっていてあわてた。
知らない街を歩いた緊張のあとでは、
さっきまで全然落ち着かなかったホテルの小さな部屋が
頼もしい味方のように思えてくるから単純で。
やれやれと開けた500ml缶のベックスが、
ドイツ上陸最初のビールとなりました。

セレブラトアが悪かった

昨日は、ビールを飲みに有楽町へ。

私にとって、有楽町は「ビールの街」。
おいしいビールが飲める
もっとも好きな店の多くが有楽町~銀座界隈にあるのだ。

友人と、そんな大好きな店の一軒に入る。
そこはドイツをはじめ、ヨーロッパのものを中心に
たくさんのビールが揃っていて、
そのリストを眺めるのは、とてもわくわくする幸せな時間だ。

まず、イエガーのパリッと苦いジョッキで乾杯。
最後の1杯でおいしくスタウトを飲むために、
ちょっとずつ濃くしていこう、と素敵な計画を考えはじめる。

それで目についたのが、かわいい
アインガー・セレブラトアのボトルだった。
でも、これが良くなかったのだなあ。

牛だかヤギだか羊だかのマスコットを
首から下げたボトルからは、想像していたより濃厚な
(知っていたら当たり前なのですが)
茶褐色のダブルボックが迸った。
口を近づけるとシナモンのような甘い香りが、
流し込むとみたらしだんごのような甘辛醤油味がして、
何だかあっちこっち忙しい。
飲みすすむにつれて、ちょっとこれは早まったなあ、
しゃきっとするラガーか何かに1度戻りたいなあ、
なんていう気分になってきた。

やはり私は、その後強引に
ビットブルガー・ピルスに戻り、
さらにピルスナータイプをおかわりし、
もうわけがわからなくなって、でも飲み続けた。

携帯に付けるんだ!と騒いでいた牛だかヤギだか羊だかを
テーブルの上に、勇ましい2足歩行状態にしたまま
置いてきたことに気づいたのは、翌日も遅くなってからだった。

ビールを飲む時の順番は大切ですなあ。
そして、ビールの知識も、必要ですなあ。

シャンパンもいいけどキルケニーもね

仕事で、あるパーティに行く。
パーティの楽しみといえば、やっぱりシャンパン。

ビールが大好きなうえ、
シャンパンもたいへん好きなのです。

無作法に歯をたてたら割れてしまいそうな
薄い薄いガラスでできた細長いグラスの中で
さわさわと細かい空気の粒を吹き上げる
繊細なのみもの。
どうでもいい宴会で「乾杯!」などと言って
一気に飲ませてしまったりするのを見ると、
あああもったいないと思う。

あのシャンパン色というのもいいですね。
キラキラするあいまいなイエローの色みと
「シャンパン色」という名前の響きの美しさで
あるとつい手にとってしまう。

パーティ会場の入り口でシャンパンのグラスを渡される。
そのあと数杯おかわりして外に出た。

今日の仕事は終わり、ちょっといい気分。
おいしいビールを飲む環境は整った!

同僚と入ったアイリッシュパブにはキルケニーがあった。
キルケニーのオリジナルグラスには、
牧歌的な、何やらかわいいマークが描かれているのだけれど
そのデザインは、
すごくきめ細かい泡と赤く輝く液体を背景にしたとき
完璧に素敵に見えるようになっているのだなあ。
シャンパンのあとで飲むエールはしっとりとやさしくて、
高飛車な美女のあとに出会った
素朴なとなりの子みたいで(例えがおやじくさいが)
心があたたまるおいしさなのでした。

期待が高まりすぎる金谷ビール

ホテルで飲むビールはおいしいものです。

いつもよりちょっとお洒落して
都内のホテルのレストランやバーに入り、
脚のついた背の高いグラスに注がれた
これまたいつもよりちょっとお洒落なビールに出合うのは
「今日は君もがんばってるねえ」的にうれしいし、

知らない町であたふたと落ち着かない時間を過ごし
やっとたどりついたホテルの部屋で
さてさてとミニバーをあさったりするのは
大切な大切な旅の楽しみだったりする。

友人から、旅のお土産にビールをもらった。

日光にドライブに行ったという彼女が買ってきてくれたのは
「日光金谷ホテル創業130周年記念」と書かれた
クラシックなラベルが美しい金谷ビールの一瓶。

栓を抜けば、訪れるのはきっと
歴史あるホテルで味わうような
ゆったりとくつろいだあたたかく豊かな時間。。。

体験したことはないがそう想像してみたら、
今すぐ飲んでしまうのはもったいない気がしてきた。
さていつ飲んだものか。
とりあえず、その瓶は部屋の机の上で
しっかり閉じ込めた味や香りや
そのたくさんの物語が
解き放たれるのを静かに待っている。