エフェスで本当のトルコ体験 | いろいろおいしい。

エフェスで本当のトルコ体験

文章を書く仕事をしていると、ウソをつくことが多い。

食べてもいないものをおいしいと書いたり、
見てもいないものを美しいと書いたり。
ジャーナリズムというのとは違う話になっちゃってるけど、
私は、これはこれでなかなか面白いものだと思っている。

定期的に海外への旅行記を書く仕事がある。
実際に行かせてもらえるのはまれで、たいていは空想して書く。
まずは観光局に行って資料を見て、ガイドブックを読んで、
その国の作家の本を読んだり、
在住の日本人のブログをチェックしたりする。
それから、飛行機の中から近づく町を見下ろしてみたり、
いざ着いたら偶然会ったフレンドリーな人におすすめの店を聞いたり、
けっこう真剣に空想の旅をする。
まあさすがにそこまで作ったウソを原稿に書くことはないけど。

今日は、友達とトルコ料理店に入った。
メニューを見ると、知ってる料理がいっぱいある。
なすのサラダ、これおいしいのよ。豆のペーストもいいねえ。
ピタパンを頼んで、のっけながら食べよう。
メインは羊肉。焼きたてを削いで山盛りにしたやつを、特製ソースで!

メニューを見ながら思い出した。
私はイスタンブールに空想の旅に行ったことがあったのでした。

まずは、トルコのビール、エフェスで乾杯。
オリジナルグラスがうれしい。
オリジナルグラスっていい。
このビールをおいしく飲ませよう、って思いが伝わるし
その国の人々が日常においしく飲んでる雰囲気を感じたり、
それにビールも本当の味を発揮してくれるような。気分がね。
初めてのリアルなトルコは、やさしい味と香りで、
スパイシーな料理との相性がぴったり。
トルコ料理は、すべて違う、いいにおいがするのが素敵。
にんにくの匂い、オリーブオイルの匂い、唐辛子の匂い、肉の匂い。
旅の記憶を頼りにオーダーしたメニューはどれも素晴らしくて、
私たちは大満足で小さな店を出た。

空想の旅もなかなか楽しいけれど、
味はもちろん、香りというのはやっぱりわからないものね。